Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』とパスカルの『パンセ』が私の心の拠り所。Peace.

幸福であるとは充足であること

 不幸を自分から大枚を払って呼び寄せているような人間がいる一方で、他人に己の幸福をまき散らすような人間もいる。幸福な生活はどれも似たり寄ったりだが、不幸な人生は各人各様であるというような話をどこかで読んだ。つまり、幸福は定型詩であり不幸は散文であるということだ。形式に則った審美主義に幸福を感じるのが人間の魂の在り様なのだとすれば、形式を乗り越え、言葉や感情が無作為に無秩序に飛び回るのは不幸なのだろうか。幸福感とはつまり充足感だろう。ビートが絶えず一定のリズムを刻んでいること。音楽が鳴り続けていること。静寂を満たしていること。空間が思い出に満たされていること。身体が栄養に満たされていること。会話が愛情で満たされていること。マグカップにコーヒーが淹れ立てで湯気が立っていること。予定帳が適度に埋まっていること。ケータイに適度にメールが来ること。来客が適度にある事。充足感。これが幸福感の一つであるかもしれない。