Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』や小林秀雄の『考えるヒント』みたいな随想録や告白集を書くのが夢。嘗て高校教諭。現在はラップ研究している大学院生。Peace.

物真似の純文学的価値

  彼の眼となり手となり脚となり、彼の体全体を自らの内に宿し、彼の声を真似てみたり、息遣いを一致させ、身振り手振りを覚え、体つきや顔つきまで似せるような、憑依体験を目指す。物真似芸人の松村邦洋の技芸とは、完全なるコピーではなくて、対象の持つ臭いや姿勢やその場の雰囲気を再演する能力の高さである。台詞の暗記ではない。成りきるのであって、これには真の演技力が試されている。または相手に対する深い尊敬や愛情といった心的な結合が欠かせないだろうと思う。

  まっちゃんに習って私も一つ、ビギーとトゥパックの物真似芸に磨きをかけよう。彼らの声を聞き続けること、カラオケの演奏のように汗をかきながら熱中して、長時間の同一化を目指そう。何時でも何処でも再演できるようになろう。己の魂と二人の魂を合一させよう。文体を真似るために書写してみよう。完全を目指そう。