Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』や小林秀雄の『考えるヒント』みたいな随想録や告白集を書くのが夢。嘗て高校教諭。現在はラップ研究している大学院生。Peace.

哀しみよ、さようなら

  今日から、何も書かず、読まず、思わない事にしよう。そう努めよう。どうしても書きたくなり、読みたくなり、思いが生まれそうになったら書き、読み、思いに体を預けよう。

  ただ、何の気なしに書く、読む、思うとは無為である。無為は無為を呼び、そのサイクルは永遠である。全ての行為は無為であり、判断は誤りに満ちており、表現は完全なる美を備えない。そうと決まれば話は早い。もう思い煩うことは無くなった。

  毎日更新するのは、生きた証としてである。最低限の書き、読み、思いだけで良い。無理に書いたり、読んだり、思いを込めすぎるのは意味がない。

  残る行いは、論文の完成と就職先を見つける事だけである。といっても同じ肉体を持って読み、書き、思いを表すだけであるから、無為には違いない。だから、もう過剰な期待や不安を持つ必要もない。一切は空である。そう思いたい。

  体を大切にするのも無為である。無為を行うとは、論理の矛盾である。矛盾に満ちた人生に意味は本来無いだろう。だからこそ、行為と直観をリンクさせる魂という観念を作り出したり、解釈学的循環を走り回ろうとする勇気が生まれるのである。

  あらゆる価値基準が失われると、己で創設するより他無い。これはエキサイティングな試みだ。全ては仮の姿である。憎しみも怒りも痛みも嫉妬も、仮の苦しみに他ならない。色即是空であるから、もう悩まない。哀しみよさようなら、また会う日まで。