Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』とパスカルの『パンセ』が私の心の拠り所。Peace.

私家版「語彙と誤謬の研究」

・対義語として使っている語彙が、実は逆説的に同義語であることに気づかず、読み手にとって解釈不可能になっている場合。

(例:結果と原因の取違い)

 

・類義語として二つを並べたときに、範疇が極端に異なるのにも関わらず、音韻や表記の上で何となく対照的な印象を与えてしまい、誤解を招いてしまう場合。

(例:一般に流布されている言葉と専門分野のタームの取違い)

 

・独義語として使っている語彙が、実は多義語としての広がりを持っていたために、文脈を越えて如何様にも解釈できる余地が残り、時として矛盾する印象を与えている場合。

(例:詩学のメタファーと論理学の構造の取違い)

 

・多義語としての意味の広がりを持たせようとしているにも関わらず、文脈による固定化の過程を経た結果として、多義的な意味の広がりが失われて、単独の意味のみしか残っていない印象を与えて、書き手の意図を矮小化させてしまう場合。

(例:メタファー効果と演説的効果の取違い)

 

・機能語(指示対象、動作の方向、状態の明示暗示、時間と空間の存在と様態、など)が、本来の機能を失って、意図と異なる機能を自発的に持ってしまう場合。

(例:文法規則の誤認)

 

・造語による誤謬。反・非・無・未・不・似非などの否定辞、同・有・真・相・正・純・本などの肯定的接頭辞、品詞変化を司る接尾辞などの誤用によって、かえって意味が不明瞭になっている場合。

(例:造語規則の誤認)

 

・論理学に於ける、順接、逆説、換言、要旨、譲歩と主張の順序といったディスコースマーカーの利用において、読みやすさへの配慮が十分でない場合。

(例:論理学の誤認)

 

・指示語を使わないために読む快感が尋常なく失われており、冗長で退屈、繰り返しと循環に陥っている場合。

(例:読み手への配慮の不足)

 

・語彙の音韻と表記に於いて、既に極端な社会性が歴史的に備わっているために、読み手の情緒に否応なく働きかけてしまう場合。特に差別用語の扱いについて軽率な場合。

(例:同時代性の認識と負の歴史に対する畏れの両方の不足)

 

・漢字の変換ミス、句読点のミス、てにをはのミスなどの、校正の際に訂正されるべき細部の確認を怠った故に、意味の取違いが起こる場合。

(例:編集に於けるツメの甘さ)