Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』や小林秀雄の『考えるヒント』みたいな随想録や告白集を書くのが夢。嘗て高校教諭。現在はラップ研究している大学院生。Peace.

トラウマの克服、つまり如何にして論文を書くかということ

  二度の休学と復学を経て、遂に修士号を獲得する長い研修期間が始まりつつある。正確には既に始まっていたのではあるが、研究するより心と体を整えるのが先決であった。3ヶ月掛かって漸く体調の復帰の見通しが立ってきた。体が元気になって、心が幸福に近づけば、意識は論文からどんどん離れていく。私の論文嫌悪症も重症の一途を辿っている。

  論文が嫌いである。生理的な物なので、理由は特に無い。小学生の頃に給食で、トマトベースの野菜とキノコのスープを半強制的に食べさせられて以来、トマトスープが嫌いになってしまった。私にとって論文とは一種のトラウマである。辛い体験がありありと甦ってきて、気持ち悪くなって、泣きたくなって、吐き気がする。頭の奥がぼおっとして、体の平衡感覚が鈍くなり、ベッドに張り付いたように寝てしまう。食欲や性欲ばかり旺盛になる。他人から干渉されるのが極端に嫌になる。読書も音楽も映画も親しまなくなる。図書館にも行かず、本屋にも寄らず、喫茶店にも通わなくなる。催し物が嫌いになって、人混みを避けるようになる。それくらい、私にとって論文はトラウマなのだ。

  トラウマの克服の仕方を見つけたい。論文が怖くなくなりたい。学問の楽しさとは、本来、論文を読む愉快であり、論文を書いて発表する愉快であるのだから。