Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』や小林秀雄の『考えるヒント』みたいな随想録や告白集を書くのが夢。嘗て高校教諭。現在はラップ研究している大学院生。Peace.

忘れ物と遅刻

  私には二つの才能がある。それは忘れ物と遅刻である。恐らく私にはこの二つの才能が授けられている。悪い冗談だ。なぜ逆ではなかったのか。いつも忘れ物をせず、いつも時間通りに動ける才能を与えてくれなかったのか。長い間、私は自分の才能を呪っていた。俺はダメなやつなんだ。最近になって、思うところあって考え方を変えて見た。丸っきり逆ではないんだろうか。私の天賦の才能こそ忘れ物と遅刻なのではなかろうか。きっとそうだ!私は、余りにも頻繁に物忘れをしてしまう為に、自分自身のことを忘れないように忘れな草を右手に握りしめ、左手には決して調整できない壊れかけの腕時計を巻いて生まれてきたのだ!だからこの二つの天の恵みを失うわけには行かないのだ。

  要するに開き直ったのである。私の中では、忘れ物して当たり前で、遅刻して当たり前なのである。カッコ良く言えば、私の記憶と時間の観念が、皆のそれとは少しばかり違うのだ。ダサく言えば、私はアホで間抜けなのだ。どうだ!恐れ入ったか!

  しかしながら私にも恥の概念はある。沢山ある。なぜなら、忘れ物と遅刻の経験が多くあり、その才能を発揮する度に、周りの人たちから貶されたり叱られたりしてきたからである。周囲の心配や迷惑を顧みず、私は忘れ物をしてきたし、遅刻してきた。これからもするだろうと思う。そして、その事について一切反省しないことに決めた。