Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』や小林秀雄の『考えるヒント』みたいな随想録や告白集を書くのが夢。嘗て高校教諭。現在はラップ研究している大学院生。Peace.

「構え」と「造り」

   ふと、世の中の構造が気になることがある。宇宙の話でも、物理学の話でもない。私の世界の話は、最も極小な部分について取り上げる。例えば、毎日使うエレベーターの構造。毎晩寝る時に敷くマットレスの構造。扇風機の仕組み。電灯の仕組み。鏡の仕組み。珈琲の仕組み。パソコンやスマホの構造。マンションの骨組み。自動扉の仕組み。郵便物がどのような処理をされて配達されるのか。川の護岸工事の仕組み。橋の渡し方。車のエンジンの仕組み。そして、本の作り方。そういった日常の中にある物の単純な構造が、とても気になる。

   第一に、そちらの方がずっと重要なのだ。宇宙の成り立ちよりも、国家の成り立ちよりも、私の住む東京都のK区の成り立ちの方がよっぽど重要なのだ。それは当たり前のことだ。

   否、最も極小的な構造とは、私自身の構造である。私はどのような構造を持っているのか。ホモサピエンスの生体学的構造を知りたい。生理学的な刺激と反応の構造を知りたい。脳機能学的な認知心理学を知りたい。栄養学的な体の組成について知りたい。私の個人的な事情についてもっと知りたい。父母の話を聞きたいし、祖父母の話を聞きたいし、曾祖父母の話を、もっと遡って、家系の事を知りたい。一家の財産を如何に管理し、維持し、成長させるのかを知りたい。私の知性と理性と感性が、如何にして私の魂を織り成しているのか、その要素の諸関係を知りたい。つまり、個人とは如何にして政治的に、経済的に、社会的に、そして文化的に成り立つのかを知りたい。個人の話は、世界の話よりも優先順位が高いのだ。それは当然のことだ。

   己を知り、相手を知れば、百戦危うからず。これは孫子の兵法だ。認識の順序を重んじろと、私には聞こえる。中国の賢人は本当に人生の根本を考え尽くしている。だから偉いのだろう。やはりと言うべきか、四書五経は読まねばなるまい。まずは論語を読み直し、大学、中庸を読み、孟子を読むか。