Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』とパスカルの『パンセ』が私の心の拠り所。Peace.

学び少なき一日

 一日を布団の中で寝て過ごし、まるで病人になった様な気持ちだった。この病室に在る物を見回してみる。まず頭上を照らす赤褐色の電灯が終日付けたままになっており、眩暈と頭痛を引き起こしている。私は腹ばいになって寝ている。右の耳を下にして寝ていたため、首筋に痛みがある。体がやけに寒い。布団から身体がはみ出している。どういう訳か、上半身だけ掛布団に覆われ、下半身は丸出しである。下腹部に異常な熱を感じる。電気毛布と接触している部分だけが異常に熱く、不快である。枕元に充電が切れたスマートフォンと、その尻から回虫のように白く不格好に伸びる充電ケーブルが壁のソケットに喰いつき、ちゅうちゅうと電気を吸っている。寝床の側の床の上には、数時間前に寝ながら食べ、置きっぱなしにしたカレー皿と銀の匙がある。ルーが白い皿の縁にこびり付き、香辛料の臭いを微かに放っている。皿の隣には500mlの水の入っていた空のペットボトル、踏むと上蓋が開く構造になっている金属製の屑籠、本棚に入りきらないため床の上に並べられた研究書の山、スタンバイのまま主人の帰りを待つパソコンのスクリーン、給水ランプがついて自動停止した加湿器、口を開けたままのエアコン、そして部屋を充満する得体のしれない魑魅魍魎である。こうしたものの中に一日居たせいか、頭痛と吐き気が止まらなかった。深夜、つい先ほどだが、やっと布団から這い出して、風呂場に行き、体中の汚れを落とした。風呂から上がり、部屋の空気を入れ替えるために窓を全開に開け、外気を取り込みつつ、布団を上げて、物を元の位置に戻し、煙草を一本吸って、自販機で炭酸水を買って、口を濯ぐようにして飲んだ。

 修士論文をやらないとまずいことは重々分かっている。しかし、こうしてブログを立ち上げて、駄文を書き散らすこと位しか出来ないのも確かである。

 寒くなってきた。窓を締めよう。

 今手元に、『般若心経・金剛般若経』(中村元紀野一義訳, ワイド版岩波文庫, 2001年)がある。昨日届いたものだ。すこし読もうと思う。修士論文を忘れたいのだ。明日の朝には気持ちが晴れているといいなと思う。