Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』や小林秀雄の『考えるヒント』みたいな随想録や告白集を書くのが夢。Peace.

トルストイは凄い

 前々からこの人は凄いと聞いていたが、やっぱり凄かったなあ、トルストイ

 今手元に、新潮文庫原卓也訳『人生論』がある。少し長めの序章と三十五の断章、簡潔な結び、三つの補足、そして最後に訳者の解説が掲載されている。今、まだ序章の途中だが、もう分かる。こりゃあすげぇや。

 純粋で美しくて真に清い言葉「しか」書いていない文章に出会うと、少したじろいでしまう。のめり込もうとする自分に気が付いて怖くなる。この『人生論』の様な真なる文章を読むと、まるで幼子の眼と不意に対峙した時、その余りの純粋さ故にこちらが恥じらいを感じてしまうのと同様に、グイグイと読み進めることが困難である。

 トルストイの文章はこれで二つ目である。一つ目は、岩波文庫の中村白葉訳『トルストイ民話集 人はなんで生きるか他四篇』の内、表題作の『人はなんで生きるか』だった。二年ほど前だったと記憶するが、実際は朧気だ。五十項にも満たない小作品だったので、一時間足らずで一気に読んでしまったのは覚えている。その時感じた、若干の退屈感と説教臭さ(説話なので仕方ないが)から、次の作品に若干躊躇いがあった。

 しかし、今、『人生論』を開いて確信した。トルストイを読まねばならない。現在取り組んでいるラップの研究と同じくらい、いや、下手したらそれ以上にトルストイという人間とその作品群は重要だと思う。