Abyss

日々の思索と妄想と魑魅魍魎。三木清の『人生論ノート』とパスカルの『パンセ』が私の心の拠り所。Peace.

素敵な人が怖い

 素敵な人が怖い。素敵な人は、まるで生き物じゃないみたいだ。素敵な人は、笑っている。素敵な人は、毎日仕事を頑張っている。素敵な人は、休日に趣味を充実させている。素敵な人は、健康的であり、スポーツが好きで、ファッション感覚に優れ、自己肯定感を高めている。素敵な人は、自立している。素敵な人は、まるで、自分が何者でもないかのように振る舞っている。素敵な人は、自分というキャラクターを造形し、誇示している。化けの皮が剥がれたとき、それは素敵な人が最も恐れを抱く瞬間だ。素敵な人は、要するに、俗物である。みんな俗物である。だが、素敵な人は、それを誇るのである。

 私もまた素敵な人になりたいと願っていた。だが、それは私には出来ないことだと分かった。私は既に自分が俗物根性にまみれているのを知っているが、それを嫌がっている。素敵な人になりたくないのは、彼ら彼女らが共有する見え透いた下心(異性からモテる、地位や名誉を得られる、お金儲けなど)に己を染めたくないからだ。否、染まりそうになっているのを止めたいのだ。

 素敵になろうとしてはいけない。私は私だ。私のままで素晴らしいのだ。

 このことは忘れてはいけないと思った。